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弊社のホテル・旅館総合情報システム「ストーリーホテル・ストーリー旅館」をご利用いただいている施設様で本当にあった出来事を元に、実話シリーズとしてご紹介します。 |
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フロントで電話を置いた若いスタッフは慌てて事務所に飛び込んできた。事務所に居た若旦那に「お客様が怒ってます」というのである。
よくよく聞いてみると、少し前にそのお客様が予約の電話をしたときは、女将から「ご希望の部屋は空いておりません」と断られ、今電話してみると空いているとは何事だ!ということなのだ。どうも女将の常連客で、大切にしているが故、空き状況を偽るわけがないというのであろう。若旦那は事情を確認するため携帯電話で女将に連絡を取ったが通じない。
しばらく考えていた若旦那であったが、若いスタッフにお客様の住所と名前を聞いた。「名古屋の長坂様です。」と聞くと、おもむろにコンピュータの操作を始めたのである。検索項目に「名古屋」と「長坂」を打ち込んで検索すると2名のお客様が表示された。一人は1回の利用履歴があり、もう一方は18回の記録がある。この18回のお客様であることを確信するとその長坂様を選択表示した。少し眺めてから、電話をかける若旦那であった。3回コールするかしないかのうちに電話に出たお客様は、相変わらず熱くなっていた。それでも若旦那は平静を保ちながら「いつもご利用いただきましてありがとうございます。」といった。このあたりまえの言葉も、10年近く蓄積された詳細情報を確認しながら話すのと、そうでない場合とでは気持ちの伝わり方も違う。このときからお客様は、「俺のことを常連であるとわかっているな」と感じ始めていた。若旦那は「前回お越しの際には、焼酎のお土産までご心配いただきましてありがとうございました。いただいた○○焼酎はめずらしいものでありがたく頂戴しました。」と言いながらご希望の日にちの空室状況を確認していた。確かに希望日の前後はイベントで満室に近いため予約の受け付けは微妙であったのであろう。お客様は、直接接客対応を受けたことのない若旦那から前回のお土産のお礼を言われ、満足していた。若旦那はお客様の過去18回のご利用部屋が記録されている画面を見ながら、「お客様、たいへん申し訳ないのですが、いつもご利用いただいているお部屋が空いておりません。いつもとは別のタイプの客室になりますが、いつもの料金で用意させていただきますが、いかがでしょうか?」と伝えると、お客様は、自分のことを良く知っていると関心して、若旦那の申し出を受け入れて予約を依頼してきた。その後しばらくの間、いままでのご利用にまつわる思い出話や趣味の話で盛り上がった。
若いスタッフは、若旦那に「よくお土産のことを覚えていましたね」と聞くと、「覚えているわけないじゃない。コンピュータに入っていたんだよ。」と答えた。それを聞いた若いスタッフは、これからお客様のことで気がついたことはご利用の機会ごとに登録しておこうと思った。若旦那は、焼酎の銘柄まで登録しておいてくれた女将に感謝していた。 こうして、女将のお得意様は、女将の知らないところで心地よい対応を受け、ますますこの旅館のファンになっていた。 |
[ 活用されていた機能 ]
■住所の一部と名字のみの組み合わせによる部分一致のあいまい顧客検索機能
■ご利用履歴詳細蓄積機能。導入後の利用明細、利用部屋などすべての詳細が蓄積されている。
■ご利用ごとの備考欄。お客様備考のほかに、利用日備考、部屋備考など。
■顧客管理の趣味趣向情報。
[ 活用のポイント ]
■ご利用ごとに気が付いた点を備考欄に登録しておいたこと。(女将)
■いつものご利用部屋、金額を確認しながらご案内したこと。(若旦那) |
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